■牝 1993/4/6生れ
■血統
父トニービン
母ダイナカール(ノーザンテースト)
伊藤雄二厩舎
■戦績
95年7月:新馬戦/武豊/2着
95年7月:新馬戦/武豊/1着
95年10月:いちょうS/武豊/1着
95年12月:阪神3歳牝馬S/キネーン/2着
96年3月:チューリップ賞/ペリエ/1着
96年5月:オークス/武豊/1着
96年10月:秋華賞/武豊/10着
97年6月:マーメイドS/武豊/1着
97年8月:札幌記念/武豊/1着
97年10月:天皇賞・秋/武豊/1着
97年11月:ジャパンC/武豊/2着
97年12月:有馬記念/ペリエ/3着
98年4月:大阪杯/武豊/1着
98年6月:鳴尾記念/武豊/2着
98年7月:宝塚記念/武豊/3着
98年8月:札幌記念/武豊/1着
98年11月:エリザベス女王杯/横山典/3着
98年11月:ジャパンC/横山典/2着
98年12月:有馬記念/武豊/5着
通算19戦9勝(重賞7勝)
※馬齢は当時の表記です。
母ダイナカールはオークス馬で母娘2代のオークス馬。
デビュー戦は7月の札幌戦。武豊騎手鞍上で単勝1.6倍の圧倒的人気に推されたがマイネルランサムをクビ差捕らえ切れず2着に惜敗。
しかし折り返しの新馬戦では一変。先手を奪うと2着ダイワテキサスに5馬身差をつける圧勝で勝ち上がった。
続くOP特別いちょうSでは好位からのレース。途中大きな不利を受けたが態勢を立て直し伸びると、2着マウンテンストーンに1馬身差をつけ優勝。2勝目を挙げた。
その後はG1・阪神3歳牝馬Sへ。武豊騎手うがイブキパーシヴに騎乗したためキネーン騎手へと乗り替わり3番人気での出走となった。ビワハイジがスローの逃げに持ち込むと直線も粘り、エアグルーヴは2番手から懸命に差を詰めるも1/2馬身差の2着に惜敗した。
その後は休養を取り、春の始動戦はチューリップ賞。ビワハイジも出走し、ビワハイジ2.3倍、エアグルーヴ2.7倍と続いた。
カネトシシェーバーが逃げる展開でビワハイジが続き、その後をエアグルーヴが追った。抜群の手応えで直線を迎えたエアグルーヴが次元の違う脚で伸び、2着ビワハイジに5馬身差をつけ圧勝した。
3歳女王に決定的な差をつけ、桜花賞へ向け最有力候補に躍り出たが、中間熱発し桜花賞を回避することとなった。ちなみにこの年の桜花賞馬はファイトガリバーであった。
その後は順調に回復し、オークスを目標に調整された。
鞍上は主戦武豊騎手に戻り、チューリップ賞以来のレースだったが単勝2.5倍の1番人気に支持された。
好位を追走し直線半ばで先頭に立つと、外から差を詰めた桜花賞馬ファイトガリバーに1.1/2馬身差をつけ優勝。母ダイナカールとの母娘オークス制覇を飾った。
夏場は休養をとり、秋はぶっつけで秋華賞へと向かった。
単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持されたが、まったく見せ場なくファビラスラフインの10着に惨敗した。パドックでのフラッシュ撮影による影響とも言われたが、レース後には骨折も判明。長期休養に入った。
復帰戦は5歳6月のマーメイドS。8ヶ月の長期休み明けながら単勝1.9倍の1番人気での出走となった。中団からレースを進め直線入口で先頭を射程圏に入れると直線は余裕の手応えで後続を振り切り優勝。骨折明け初戦を勝利で飾った。
次走は札幌記念。皐月賞馬ジェニュインも出走してきた。初めて一線級牡馬との対戦となったが、問題にせず2着エリモシックに2.1/2馬身差をつける快勝で復帰後2連勝とした。
その後は天皇賞・秋を目標に調整された。
このレースには前年4歳馬ながら同レースを制し、連覇を狙ったバブルガムフェローが出走し、単勝1.5倍の圧倒的本命だった。エアグルーヴは4.0倍の2番人気で続いた。
中団からレースを進め、直線はバブルガムフェローとの一騎打ち。ゴール前エアグルーヴがクビ差前に出るとバブルガムフェローをねじ伏せ優勝。1980年プリティキャスト以来となる牝馬の天皇賞制覇となった。3着ジェニュインにはさらに5馬身差がついていた。
次走はジャパンCへ。バブルガムフェロー、エアグルーヴ、ピルサドスキーの3頭が人気を集めた。好位追走から直線バブルガムフェローを置き去りにし内から伸びたピルサドスキーとの一騎打ち。懸命に粘るエアグルーヴだがクビ差及ばず2着に惜敗した。
さらにその後は有馬記念へ参戦。武豊騎手がマーベラスサンデーに騎乗したためチューリップ賞以来のペリエ騎手とのコンビとなった。
好位から正攻法のレースを見せたが、目標にされた分最後は苦しくなりシルクジャスティス、マーベラスサンデーから0.1秒差の3着に敗れた。
G1は天皇賞・秋1勝ではあったが、ジャパンC2着、有馬記念3着と牡馬一線級と互角に渡り合い牝馬としてはトウメイ以来の年度代表馬に選出された。
翌6歳シーズンも現役を続行。大阪杯で始動した。
1つ下のオークス馬メジロドーベルも出走したが、エアグルーヴが単勝1.2倍の人気に応え完勝。さい先の良いスタートを切った。
次走の鳴尾記念でも1.3倍の圧倒的1番人気に支持されたが、不良馬場に伸び脚を奪われ、サンライズフラッグから3馬身離された2着に敗れた。
その後は春のグランプリ・宝塚記念へ。調整の遅れもあり3番人気に留まった。サイレンススズカがマイペースで逃げる展開でエアグルーヴは中団から。ラスト3Fはメンバー最速の35.1秒で追い込んだが、逃げ切ったサイレンススズカから0.2秒差の3着に終わった。
その後は前年も勝っている札幌記念に出走し、2着サイレントハンターに3馬身差をつけ圧勝した。
秋は前年制した天皇賞はパスし、エリザベス女王杯からジャパンCのローテーションが組まれた。
武豊騎手がアドマイヤベガの斜行により騎乗停止処分を受け、急遽横山典騎手が騎乗することとなった。
エリザベス女王杯は単勝1.4倍の圧倒的1番人気だったが、直線もう一つ伸び切れずメジロドーベルから0.3秒差の3着に敗れた。
続くジャパンCはスペシャルウィークに続く2番人気。そのスペシャルウィークは抑え込んだが、エルコンドルパサーの末脚に及ばず2.1/2馬身差の2着に敗れ前年の雪辱は果たせなかった。
ラストランとなった有馬記念では主戦の武豊騎手に手綱が戻り2番人気。好位を進み直線にかけたが、落鉄の影響もありグラスワンダーの5着に終わった。
■引退後
現役引退後は繁殖入り。
初年度から3年続けてサンデーサイレンスと交配されアドマイヤグルーヴ、イントゥザグルーヴ、サムライハートといずれもデビュー戦で勝利を収めた。
初仔・アドマイヤグルーヴはオークスでも1番人気に推され母娘3代オークス制覇の期待も高かった(7着)。クラシックでの勝利こそなかったものの、母もタイトルが取れなかったエリザベス女王杯を連覇する活躍を見せ、繁殖としてもアドマイヤセプターなど活躍馬を出したが、先日残念ながら急死してしまった。
初の牡馬となったサムライハートは体質の弱さがあり大成できなかったが、全5戦すべて1番人気(うち4戦は1倍台)であった。現在は種牡馬として活躍している。
5番仔となった父ダンスインザダークのザサンデーフサイチはセレクトセールで4億9000万円の超高値をつけ話題となったが、現時点で3勝を挙げるにとどまっている。
ポルトフィーノ(牝・父クロフネ)は重賞勝ちこそなかったが、次のフォゲッタブル(牡・父ダンスインザダーク)はステイヤーズS、ダイヤモンドSの長距離重賞を制した。
その後も活躍馬を出し、ルーラーシップ(牡・父キングカメハメハ)は香港G1・クイーンエリザベス2世Cを制覇。今週の天皇賞・秋で国内G1制覇を狙う。
グルヴェイグ(牝・父ディープインパクト)は今年春に本格化。3連勝でG3・マーメイドSを制したが残念ながら故障を発生し引退が決まった。
今年デビューを控えるのは父ディープインパクトの牝馬・ラストグルーヴ。既にトレセンに入厩しておりデビューも近づいてきた。藤原英厩舎に山本英俊オーナーという組み合わせで可能性は薄いが鞍上に"あのジョッキー"が決まれば盛り上がりそうだが…。
2012.10.22