■牡 1995/3/17生れ
■血統
父kingmambo
母サドラーズギャル(Sadler'sWells)
二ノ宮敬宇厩舎
■戦績
97年11月:東京/新馬戦:1着
98年1月:中山/500万下:1着
98年2月:東京/共同通信杯:1着
98年4月:東京/NZT:1着
98年5月:東京/NHKマイルC:1着
98年10月:東京/毎日王冠:2着
98年11月:東京/ジャパンC:1着
99年5月:仏/イスパーン賞:2着
99年7月:仏/サンクルー大賞:1着
99年9月:仏/フォワ賞:1着
99年10月:仏/凱旋門賞:2着
通算11戦8勝(重賞6勝)
※馬齢は当時の表記です。
エルコンドルパサーはアメリカ産まれの外国産馬。父kingmamboのスピードと母父Sadler'sWellsのスタミナが配合された世界的血統である。
デビュー戦は3歳11月の東京ダート1600m戦。的場騎手鞍上で単勝2.5倍の1番人気での出走。スタートで出遅れ、最後方からのレースとなったが、1頭だけ次元の違う末脚で2着に7馬身差をつけ圧勝した。3着馬はその遙か後方で3.2秒もの差をつけた。なお、2着のマンダリンスターは後に京成杯を勝っている馬である。
2戦目は4歳年明けの中山開催の500万条件。ここもダート戦で初戦の好内容が買われ単勝1.3倍の圧倒的1番人気。初戦同様スタートが悪く後方からのレースとなったが、道中でポジションを上げると、直線見る見る後続との差を広げ2着タイホウウンリュウに9馬身差をつける圧勝でデビュー2連勝とした。
3戦目は芝のレースが選択され、共同通信杯4歳Sに出走。
同じくダートを圧勝劇で2連勝中の岡部騎手騎乗ハイパーナカヤマとの一騎打ちムードとなった。
しかし、当日は降雪の影響で芝コースが使えず、ダートへとコース変更となる。
スタートを五分に出て、直線では初めて気合いをつけられると、鋭い瞬発力を見せ、ハイパーナカヤマに2馬身差をつけ優勝。
※G3の同レースだったが、ダート変更となったため、格付けなしとなった。
デビュー3連勝としたエルコンドルパサー。同期には同じ外国産馬で、的場騎手が主戦を努める怪物グラスワンダーがおり、その直接対決への関心が高まった。
春の目標であるNHKマイルCのステップレースにはニュージーランドTが選択され、いよいよグラスワンダーとの直接対決かと思われたが、ライバルが骨折によりリタイア。
そのニュージーランドTでは初の芝レースであったが単勝2.0倍の1番人気。中団につけレースを進めると、直線であっさりと抜けだし優勝した。
無傷の4連勝で迎えたNHKマイルC。同じくデビュー4連勝でクリスタルCを制して挑んだトキオパーフェクトとの対決となった。好スタートを切ると好位に取りつき、直線早めに抜け出し、2着シンコウエドワードに1.3/4馬身差をつけ優勝。無敗でG1制覇を遂げた。
秋は毎日王冠で始動することが決定。
このレースには骨折から復帰したグラスワンダーも出走。両馬の主戦だった的場騎手は苦渋の決断の末、グラスワンダーを選択。
エルコンドルパサーは蛯名騎手との新コンビが決まった。
さらにこの年の毎日王冠は圧倒的な逃げを見せる武豊騎手騎乗のサイレンススズカが参戦とあってG1並みの盛り上がりを見せた。
人気はサイレンススズカが1.4倍と断然の支持を集め、以下グラスワンダー3.7倍、エルコンドルパサー5.3倍となった。
サイレンススズカがいつものようにハイペースで逃げを打ち、グラスワンダーが早めに仕掛けて捕らえにかかるが休み明けの分、直線で失速。エルコンドルパサーも直線で差を詰めたがサイレンススズカには及ばず、2馬身半差の2着に敗れた。
外国産馬のため天皇賞への出走権はなく、その後はマイルCSかジャパンCが次走の候補となり、後者に出走する。
距離延長に対して不安視されるところもあり、同期のダービー馬スペシャルウィーク、前年2着のエアグルーヴに次ぐ3番人気にとどまった。
しかしレースでは好スタートから好位につけると、直線あっさりと抜けだし、2着エアグルーヴに2馬身半差をつけ快勝した。
4歳馬として初のジャパンC制覇を成し遂げた。
この年は二冠馬セイウンスカイを抑え、最優秀4歳牡馬に選出された。
古馬となったエルコンドルパサーは戦いの場を海外へ移す。
海外への長期遠征が決定され、フランスのトニー・クラウト厩舎に預けられることになった。
最大目標を凱旋門賞に置き、春は2戦消化されることになった。
海外初戦のG1・イスパーン賞はクロコルージュの2着に惜敗するも、次走のG1サンクルー大賞では2着タイガーヒルに2馬身半差をつける圧勝で海外G1初制覇を飾った。このレースには前年の凱旋門賞馬サガミクスや欧州年度代表馬ドリームウェルらも出走しており、このレースの勝利により一躍注目を集めることになった。
その後は休養が取られ、秋はG2フォワ賞で始動。
レースは3頭立てと少頭数となったが落ち着いたレース運びで完勝。
いよいよ大目標の凱旋門賞へ向けて期待が高まった。
凱旋門賞ではアイリッシュダービー馬で欧州最強の4歳馬の呼び声高いモンジューが出走してきた。
不良馬場で行われたレースだったがエルコンドルパサーは馬場を苦にせず先頭でレースを進めた。
直線手応えよく後続を突き放しにかかったが、残り1Fでモンジューが馬群を割って伸びてきた。
2頭の一騎打ちとなったラスト1Fだったが、わずか半馬身差競り負けエルコンドルパサーは2着に惜敗した。
古馬のエルコンドルパサーが斤量59.5キロに対して4歳馬のモンジューは56キロの斤量であった。
その後は日本で走ることなく、現役引退が決定。
半年におよぶ海外遠征で99年は一度も日本で走ることがなかったが、海外重賞・2勝、凱旋門賞2着が評価され、この年の年度代表馬に輝いた。
※99年は天皇賞春秋連覇にジャパンCも制したスペシャルウィーク、春秋グランプリ制覇のグラスワンダーもおり、JRA賞は投票が割れた。
当時のJRA賞は記者投票で過半数の票を獲得した馬が各部門に選出され、過半数に満たない部門については選考委員会による審議によって決定される形式であった。
記者投票の結果、スペシャルウィーク83票、エルコンドルパサー72票、グラスワンダー56票、エアジハード1票となり、過半数に至らなかった。エアジハードは最優秀短距離馬を受賞しており、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダーの3頭による最優秀5歳以上牡馬部門選出馬との間で審議が行われることとなった。
まず3頭から2頭に絞るため、11名の委員が2票ずつ投票。結果、エルコンドルパサー10票、スペシャルウィーク9票、グラスワンダー3票に。さらに上位2頭に委員が1票ずつ投票。結果、エルコンドルパサー7票、スペシャルウィーク4票となり、最優秀5歳以上牡馬にエルコンドルパサーが選出された。
さらに最優秀5歳以上牡馬のエルコンドルパサーと、最優秀短距離馬エアジハードとの間で年度代表馬についての審議が行われ、満場一致でエルコンドルパサーが選出された。
なお、スペシャルウィーク、グラスワンダーは特別賞受賞となった。
■引退後
引退後は総額18億円のシンジケートが組まれ種牡馬入り。しかし、種牡馬入り3年目に腸捻転を発症すると、急逝してしまった。
わずかな産駒しか残せなかったエルコンドルパサー。初年度産駒からはブラックコンドルが中京2歳S(OP)を勝ったくらいで、目立った活躍馬は出せなかった。
しかし2年目の産駒でヴァーミリアンを輩出。ラジオたんぱ杯2歳Sを勝った後、ダートG1・9勝を挙げる活躍を見せた。
さらにラストクロップからはソングオブウインドが菊花賞、アロンダイトがJCダートを制した。
そのほかにもステイヤーとして息の長い活躍を見せたトウカイトリックや短距離で活躍したアイルラヴァゲインなどを出した。
3世代のみしか産駒を残せなかったが、ソングオブウインドは2007年から後継として種牡馬入り。200頭近くの種付け頭数を集めた。
さらに昨年からはヴァーミリアン、サクラオリオン、ルースリンドが種牡馬入りしている。
2012.1.11