週刊あの馬は今!?


第29回:フサイチホウオー
■牡 2004/02/16生れ
■血統
父ジャングルポケット
母アドマイヤサンデー(サンデーサイレンス)
半姉アドマイヤメガミ(チューリップ賞2着)
半妹トールポピー(阪神JF,オークス)
半妹アヴェンチュラ(札幌2歳S2着)

■戦績
06年10月:東京/新馬戦:1着
06年11月:東京/東京スポーツ杯2歳S:1着
06年12月:阪神/ラジオNIKKEI杯2歳S:1着
07年2月:東京/共同通信杯:1着
07年4月:中山/皐月賞:3着
07年5月:東京/ダービー:7着
07年9月:阪神/神戸新聞杯:12着
07年10月:京都/菊花賞:8着
07年11月:東京/JCダート:11着
08年1月:中山/中山金杯:15着
08年2月:京都/京都記念:15着

通算:11戦4勝(重賞3勝)

2歳10月の東京でデビューを迎えた。半姉のアドマイヤメガミの活躍もあり、そこでは1番人気に支持された。
好位からレースを進めると、メンバー最速の上がりで一気に伸び、2着ピサノシェンロンに3馬身半差をつける完勝だった。

2戦目の東京スポーツ杯2歳Sでは新馬-芙蓉Sと連勝していたドリームジャーニーも出走していたが、新馬戦の内容が評価され、フサイチホウオーが1番人気だった。
2,3番手の好位を追走して直線を迎えると、フライングアップル、ドリームジャーニーとの競り合いを半馬身差制して優勝。デビュー2連勝で重賞制覇を飾った。
この勝利が父ジャングルポケットにとっては産駒の初重賞制覇だった。

3戦目は翌年のクラシックをにらみ、マイルの朝日杯FSではなく、2000mのラジオNIKKEI杯2歳Sが選択された。
前走で3着に下したドリームジャーニーが朝日杯FSを制したこともあり、ホウオーの評価はさらに上昇。単勝1.8倍の圧倒的支持を集めた。
札幌2歳Sを制しペリエ騎手騎乗のナムラマース、武豊騎手騎乗で新馬戦を快勝していたヴィクトリーが強敵。
2頭を見るような形でレースは展開され、直線はメンバー最速の上がり34.3秒を使い、まとめて差し切った。
JRA賞最優秀2歳牡馬は朝日杯FSを勝ったドリームジャーニーだったが、そのドリームジャーニーを東スポ杯で下しているフサイチホウオーも有効投票数の約1/4を獲得するなど、クラシックへ向けて注目を集める一戦だった。

翌年は共同通信杯で始動。ディープインパクトの半弟でデビュー2連勝中のニュービギニングが出走していたが、フサイチホウオーが1.4倍の人気に推された。
中団からレースを進め、直線堂々と抜け出すと、最後は追い込んだダイレクトキャッチをクビ差抑えて優勝。無敗の4連勝、重賞3連勝とした。

その後は予定通り皐月賞へ直行。シンザン記念、弥生賞と連勝していた武豊騎手騎乗のアドマイヤオーラが1番人気で、フサイチホウオーは間隔がやや空いたこともあり、2番人気だった。いつもよりやや後方からの競馬となり、人気のアドマイヤオーラと同じような位置取り。お互いにけん制し合う中、先手を奪ったヴィクトリー、2番手のサンツェッペリンが直線で後続を突き放す。直線を向いたときには絶望的な位置だったが、上がり33.9秒を使いゴール前急襲。完全に捕らえる勢いだったが、わずかにハナ+ハナ差だけ及ばず3着に敗退。
今になると、このレースが最大のG1制覇のチャンスだった。

続くダービーでは1番人気。皐月賞での末脚が東京コースで爆発されることをファンは期待した。
単勝は1.6倍と断然人気だった。しかし、レースは中団から伸びることなく、7着に敗退。勝ったのはホウオーを見るようにレースを進めた牝馬・ウオッカだった。
ダービーは1番人気が強く、単勝1倍台での敗戦は73年ハイセイコー(3着)まで遡る。また、現時点、ダービーで単勝1倍台に支持された馬は、フサイチホウオー以外全ての馬が顕彰馬となっている。

夏場は休養し、神戸新聞杯で始動。休みを挟み、改めてG1制覇への仕切りなおしとなったが、後方からまったく伸びず12着に大敗する。

その後は距離適性が考慮され、天皇賞・秋参戦も視野に入れられていたが、相手関係を優先し、菊花賞へ。
ここでも中団から弾けることなく、8着。

なんとか活路を見出そうと、次走は初ダートとなるジャパンカップダートに挑戦。鞍上も主戦の安藤勝騎手からペリエ騎手に乗り替わった。初ダートでの変わり身が期待され5番人気に支持されるも、勝ったヴァーミリアンからは5秒近く離される11着に敗れた。
そしてそのまま調子が戻ることなく3歳秋を終える。

年が明け4歳になると、中山金杯に出走するも道中引っかかってしまい、15着に大敗。
続く京都記念も15着に大敗すると、その後屈腱炎を発症。翌日に引退が発表された。

■引退後
重賞3勝を挙げダービーでは圧倒的人気に支持されたフサイチホウオーだったが、結局G1のタイトルを取ることは出来ず、引退後はノーザンホースパークで乗馬となることが発表された。
しかし、全妹のトールポピーが阪神JF、オークスを制する活躍を見せたこともあり、乗馬は撤回され、アロースタッドで種牡馬入りすることになった。

初年度の09年は種付け料30万円(受胎条件)で24頭の繁殖を集めた。
10年は種付け料が15万円で13頭の種付け頭数だった。種付け料は下がったが、ホウオーの父ジャングルポケットに似た仔馬も生まれているとの評判もあり、デビュー後の産駒の活躍が期待される。
なお、初年度産駒は2012年のデビュー予定。