週刊あの馬は今!?


第49回:ハーツクライ
■牡 2001/04/15生れ
■血統
父サンデーサイレンス
母アイリッシュダンス(トニービン)

■戦績
04年1月;京都/新馬戦:1着
04年2月:京都/きさらぎ賞:3着
04年3月:阪神/若葉S:1着
04年4月:中山/皐月賞:14着
04年5月:京都/京都新聞杯:1着
04年5月:東京/ダービー:2着
04年9月:阪神/神戸新聞杯:3着
04年10月:京都/菊花賞:7着
04年11月:東京/JC:10着
04年12月:中山/有馬記念:9着
05年4月:阪神/大阪杯:2着
05年5月:京都/天皇賞(春):5着
05年6月:阪神/宝塚記念:2着
05年10月:東京/天皇賞(秋):6着
05年11月:東京/JC:2着
05年12月:中山/有馬記念:1着
06年3月:ドバイシーマC:1着
06年3月:キングジョージ:3着
06年11月:東京/JC:10着

通算:19戦5勝(重賞3勝)

母アイリッシュダンスは現役時代に新潟大賞典、新潟記念を勝っている。

デビュー戦は年明け1月の京都芝2000m戦。武豊騎手鞍上で単勝1.7倍の断然人気に応えて優勝。デビュー勝ちを収めた。

次走は1勝馬ながら重賞・きさらぎ賞に挑戦。キャリアが浅いながらも善戦し、マイネルブルックの3着に好走し素質の高さを見せた。

3戦目の皐月賞トライアル・若葉Sでは2番人気ながら上がり3F34.2秒のメンバー最速の末脚を使い差し切り勝ち。2勝目を挙げるとともに、皐月賞への優先出走権を獲得した。

迎えた本番・皐月賞は道営のコスモバルクが人気を集める中、ハーツクライは5番人気で出走。後方からレースを進めるも、先行馬有利の流れに力を発揮できず14着に大敗する。

次走の京都新聞杯でスズカマンボに競り勝ち賞金を加算すると、ダービーへと駒を進める。

若葉Sから3戦手綱を取ってきた安藤勝騎手がキングカメハメハに騎乗したため横山典騎手が騎乗。5番人気で出走すると、後方から直線よく伸びて追い込むも、そのキングカメハメハに及ばず2着。惜しくもダービー馬の称号を得ることはできなかった。

夏場は休養に充てられ、秋は神戸新聞杯で始動。新馬戦以来となる武豊騎手とのコンビで出走し、2番人気に推されるもダービーに続きまたもキングカメハメハに敗れ3着。

3冠ラストの菊花賞ではキングカメハメハ不在ということもあり、押し出される形で1番人気に支持されて出走。
後方からレースを進め直線じりじりと差を詰めるも、5着に敗れた。

その後は4歳馬ながらジャパンカップ、有馬記念に挑戦するも、10着、9着と古馬相手に大敗を続け4歳シーズンを終えた。

古馬となって始動戦は大阪杯。前走有馬記念からコンビを組んだ横山典騎手が騎乗し、4番人気ながら後方から鋭く差して2着。
復調の兆しを見せて挑んだ天皇賞(春)では主役不在の混戦模様の中、8番人気で出走。いつものように後方からレースを進め上がり34.5秒で追い込むも5着まで。

続いて出走した春のグランプリ宝塚記念は3番人気。とはいえ、タップダンスシチー(1.9倍)とゼンノロブロイ(3.0倍)の2強対決の様相で単勝オッズは18.3倍とかなり離れた人気だった。レースは戦前の予想を覆し、荒れた。中団を追走していた11番人気スイープトウショウがタイミングよく抜け出すと、後方を追走したハーツクライがメンバー最速の上がり3F35.2秒で差を詰めるも僅かにクビ差届かず2着に惜敗した。ゼンノロブロイが3着、タップダンスシチーは7着に敗れた。

夏場を休養に充て、秋は天皇賞で復帰。このレースからルメール騎手がコンビを組むことになった。

ぶっつけでの出走だったが、ゼンノロブロイに次ぐ2番人気に支持された。いつものように後方からレースを進め、直線懸命に差を詰めたが、伏兵ヘヴンリーロマンスの前に6着に敗退する。

続くジャパンカップでもゼンノロブロイの2番人気で出走。後方から上がり最速の34.4秒で追い込みデットーリ騎手騎乗の外国馬アルカセットを捕らえたかに見えたが、僅か3cm及ばず、またしても2着に惜敗。G1タイトルを逃した。

その後は有馬記念へ進む。安定した末脚で確実に差を詰めるも、なかなかG1タイトルに手が届かなかったハーツクライだったが、このレースでルメール騎手は3,4番手の好位からの競馬を実践。無敗の3冠馬ディープインパクトが圧倒的な支持を集めていたが、この作戦が功を奏し、直線早めに抜け出したハーツクライは懸命に差を詰めるディープインパクトを半馬身差抑えて優勝。悲願のG1タイトルを手に入れた。結局、国内においてディープインパクトに土をつけたのはハーツクライ1頭だった。

有馬記念の勝利をはじめ、G1での好走が評価され、05年度最優秀3歳以上牡馬に選出された。

翌年は海外遠征することが決定した。
初戦は3月のドバイシーマクラシック。有馬記念同様に好位からのレースを見せると、直線楽に先頭に立つとそのまま後続を突き放し、COLLIER HILLに4馬身差をつける圧勝で海外G1制覇を飾った。

7月には欧州へ遠征。キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドSに出走。ハリケーンランに次ぐ2番人気に支持されたが、6頭立ての3着に敗れた。

帰国後はジャパンカップに参戦。前年有馬記念で土をつけたディープインパクトが凱旋門賞からの参戦とあり、2頭の再戦に注目が集まった。
ディープインパクトが後方から豪快に伸びたのとは対照的に、ハーツクライは直線ずるずる後退し、11頭立ての10着に大敗してしまう。
レース前からノド鳴りの症状が発表されるなど不安が残る中でのレースでもあったため、その後は有馬記念に出走することなく、現役引退が発表され、種牡馬入りが決定した。

■引退後
引退後は、社台スタリオンステーションで種牡馬入り。
初年度07年は種付け料500万円で供用され、109頭への種付けを行った。以降、08年度は400万円で148頭、09年度は350万円で144頭、10年度は300万円で211頭と人気を集めている。

産駒は昨年2010年度にデビューし、7月24日のバラードソングを皮切りに、ウインバリアシオンの野路菊S勝ち、オースミイージーのききょうS勝ちと、2頭のOP特別勝利馬を出した。仕上がりの速さから一時はディープインパクトを凌ぐ活躍を見せた。その後もリフトザウイングス、ツルマルレオン、メイショウナルト、ギュスターヴクライなど活躍馬を続けて輩出。今年4月の青葉賞ではウインバリアシオンが青葉賞を制し、産駒の初重賞制覇となった。
今年もスプリンターズSを制したスリープレスナイトの半弟・セングレン、秋華賞馬ブラックエンブレムの半弟となるヴァンドノワールの09など期待馬が多くスタンバイしている。