週刊あの馬は今!?


第95回:サイレンススズカ
■牡 1994/5/1生れ
■血統
父サンデーサイレンス
母ワキア(Miswaki)
半弟ラスカルスズカ(天皇賞・春2着)
半弟コマンドスズカ(JRA5勝)

橋田満厩舎

■戦績
97年2月:京都/新馬戦:1着
97年3月:中山/弥生賞:8着
97年4月:阪神/500万下:1着
97年5月:東京/プリンシパルS:1着
97年6月:東京/ダービー:9着
97年9月:阪神/神戸新聞杯:2着
97年10月:東京/天皇賞・秋:6着
97年11月:京都/マイルCS:15着
97年12月:香港/香港C:5着
98年2月:東京/バレンタインS:1着
98年3月:中山/中山記念:1着
98年4月:中京/小倉大賞典:1着
98年5月:中京/金鯱賞:1着
98年7月:阪神/宝塚記念:1着
98年10月:東京/毎日王冠:1着
98年11月:東京/天皇賞・秋:中止

通算16戦9勝(重賞5勝)

※馬齢は旧年齢での表記です。

サンデーサイレンス3世代目の産駒で、母ワキアはアメリカから輸入された繁殖馬。サイレンススズカは2番仔であった。
当初はバイアモンが種付けされたが受胎しなかった。その後目当てのトニービンも予定が合わず、代わりに選ばれたサンデーサイレンスとの間にできたのがサイレンススズカである。

5月の遅生まれでデビュー戦は4歳2月の新馬戦となった。
調教で破格の好時計をマークする際だった動きを見せていたサイレンススズカはデビュー前から評判となっていた。
上村騎手鞍上で単勝1.3倍の圧倒的1番人気。スピードの違いでハナを奪うとそのまま後続を寄せ付けず2着パルスピートに7馬身差をつける圧勝でデビュー勝ちを果たした。パルスピートは後に京都新聞杯など重賞2着3回の活躍を見せる。

評判以上の走りを見せたサイレンススズカは2戦目にG2・弥生賞へと出走する。朝日杯3歳S3着馬のエアガッツが1番人気でサイレンススズカは2番人気。人気は譲ったが未知の魅力に溢れたサイレンススズカに注目は集まっていた。
しかしスタート前にゲート内で暴れ、鞍上の上村騎手が落馬。ジョッキーは脚を負傷したがこの馬を逃すまいとそのまま騎乗。外枠発走となり、さらにゲートが開いても前に出ず10馬身以上の出遅れとなってしまう。しかし、道中グングンとスピードを上げていくとあっという間に馬群に取りつき、4角では3番手まで進出。このまま勝ってしまうのでは?という期待も高まったが、さすがに最後は力尽き、ランニングゲイルの8着に敗れた。

破天荒なレースを見せたサイレンススズカだったが、20日間の出走停止処分が下され、皐月賞挑戦は見送られた。

その後立て直しが図られ2ヶ月後の500万条件に出走。単勝1.2倍の1番人気に推された。好スタートから先手を奪うと、そのまま楽勝。後続に7馬身差をつけ逃げ切った。

次走はダービー出走をかけ青葉賞への出走を予定していたが、調教中のアクシデントがあり、1週ずらしてプリンシパルSへ。ダービーを意識した乗り方で2番手からのレースとなった。これまでの逃げる競馬で見せた圧倒的なパフォーマンスではなかったが、マチカネフクキタルをクビ差抑えて優勝。ダービーへの出走権を獲得した。

迎えたダービーは4番人気での出走。ここも3番手で抑える競馬となったが、ちぐはぐなレースとなってしまい9着に敗退。勝ったのは大外枠から逃げ切ったサニーブライアンだった。

高い素質と難しい気性面とを見せた3歳春のサイレンススズカであった。

夏場は休養に充てられ秋は神戸新聞杯で始動。
さくらんぼ特別を圧勝した上り馬マチカネフクキタル、ダービー2着のシルクジャスティスと人気を分けた。
楽に先手を奪うと直線もセーフティリードを保ち、鞍上は勝利を確信。ラスト100mは流す余裕を見せたが4角最後方にいたマチカネフクキタルが抜群の瞬発力を見せて急襲。ゴール前で交わされると1.1/4馬身差をつけられ2着に敗れた。

デビュー以来手綱を取ってきた上村騎手であったが、このレースを最後に降板。次走の天皇賞・秋では河内騎手が手綱を取り、4歳馬ながら4番人気に支持された。初の古馬相手となったが、逃げる展開に持ち込むと1000m通過58秒5のハイペースでの大逃げ。直線半ばまで粘ったがラスト200mを切ったあたりでエアグルーヴ、バブルガムフェローに交わされた。それでも最後まで踏ん張り6着に健闘した。1,2着馬からは1秒離されたが3着ジェニュインからは0.1秒差であった。

次走はマイルCSへ。同じ脚質のキョウエイマーチも出走しており1000m通過56秒台のハイペース。鞍ずれのアクシデントもあり直線はずるずる後退。タイキシャトルの15着に大敗した。

その後は選出されていた香港カップへ遠征。初コンビとなる武豊騎手を鞍上に迎えた。マイルCSから中2週という厳しいローテーションであったが、ハイペースで逃げる自分の形に持ち込む。直線も粘ったが最後に後続に交わされ5着に敗れた。このレースでの8F通過タイムは同日の香港マイルの勝ち時計を上回るペースだった。

結局重賞タイトルには手が届かなかったサイレンススズカであったが、自分のスタイルを確立。さらに鞍上武豊とのコンビ結成で、5歳以降の活躍が期待された。

古馬となったサイレンススズカは2月のOP特別・バレンタインSで始動。単勝1.5倍の1番人気に応え2着ホーセズネックに4馬身差をつけ圧勝。

プリンシパルS以来の勝利を飾ると、次走はG2・中山記念へ。
ここも先手を奪いハイペースで進む。右回りだったこととメンバーが強化されたことでこれまでほどのインパクトはなかったものの、2着ローゼンカバリーに1.3/4馬身差をつけ優勝。2連勝で重賞初制覇を飾った。

その後は中京で行われた小倉大賞典へ。いつもの大逃げで直線を迎える。手綱はもったまま後続を寄せ付けず2着ツルマルガイセンに3馬身差をつけ圧勝。レコード勝ちで3連勝とした。

さらに圧巻は金鯱賞。スタートから先手をとるとじわじわと進出。徐々にスピードに乗ると向正面では10馬身近い差をつける。4角を回り直線入口では既に勝利が確信されるほど圧倒的なレース内容で2着ミッドナイトベットに1.8秒の大差をつける圧勝だった。重賞では珍しい大差勝ちだったが、決してメンバー弱かったわけではなく、ミッドナイトベットは重賞2連勝中、タイキエルドラドは4連勝でアルゼンチン共和国杯制覇、菊花賞馬マチカネフクキタル、重賞2勝のトーヨーレインボーら強敵が出走していた。これで重賞3連勝を含む4連勝とした。

その後は中距離路線で確固たるスタイルをまとい、最大目標としていた天皇賞・秋へ向け休養に入る予定だったが、体調もよく春のグランプリ、宝塚記念への出走が決まった。主戦の武豊騎手はエアグルーヴへの先約があったため南井騎手が代打起用された。
エアグルーヴ、メジロブライト、シルクジャスティス、メジロドーベルなどG1馬も出走してきたがサイレンススズカが1番人気に支持された。
いつものようにじわっと先手を奪うと徐々に後続を引き離す。さすがにG1で相手も強くいつものように楽ではなかったが直線も後続の追撃を凌ぎ切りステイゴールドを3/4馬身差振り切って優勝。5連勝でG1初制覇を飾った。なお武豊騎手が騎乗したエアグルーヴは3着だった。
少し意外だったのはファン投票で6位だったこと。

秋は大目標の天皇賞へ向け毎日王冠で始動。
4歳馬エルコンドルパサー、グラスワンダーという2頭の無敗の外国産馬が出走してきた。3強対決ではあったが、サイレンススズカ1.4倍、グラスワンダー3.7倍、エルコンドルパサー5.3倍と1歳年上のサイレンススズカが受けて立つ格好であった。
59キロの斤量での出走であったが、前半1000mを57秒7で通過。やや引きつけながらの逃げであったが直線では後続を突き放す展開で2着エルコンドルパサーに2馬身半差をつけ優勝。着差以上の力差を感じさせた。

前哨戦を最高の形で終え、迎えた天皇賞・秋。逃げるサイレンススズカにはもってこいの1枠1番に入った。
メジロブライト、シルクジャスティス、ステイゴールドらが出走していたが単勝オッズ1.2倍ともはやどんな勝ち方を見せるのかに注目は集まっていた。
好スタートから先手を奪い後続をグングン突き放すと、ハイペースだった前走をさらに上回る前半1000m57秒4のハイペースでの大逃げ。3角手前では10馬身以上、3番手の馬にはさらに5馬身以上の差をつけるペースで大欅を通過。そんなハイペースだったが直線バテるのでは?という不安よりもどれだけ差をつけたままゴールを迎えるのかに期待するファンが多かっただろう。
その直後、ガクっと態勢を崩すとそのまま後退。誰の目にも故障は明らかだった。
左前脚手根骨粉砕骨折発症により安楽死処分がとられた。

天皇賞・秋は最高の状態で挑み最高のレース展開になったがゴールを迎えることはできなかった。
さらにその先にあったジャパンC、アメリカ遠征なども夢と消えてしまった。

2012.6.11
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