■牡 1995/5/2生れ
■血統
父サンデーサイレンス
母キャンペンガール(マルゼンスキー)
白井寿昭厩舎
■戦績
97年11月:阪神/新馬戦:1着
98年1月:白梅賞:2着
98年2月:京都/きさらぎ賞:1着
98年3月:中山/弥生賞:1着
98年4月:中山/皐月賞:3着
98年6月:東京/ダービー:1着
98年10月:京都/京都新聞杯:1着
98年11月:京都/菊花賞:2着
98年11月:東京/JC:3着
99年1月:中山/AJCC:1着
99年3月:阪神/阪神大賞典:1着
99年5月:京都/天皇賞・春:1着
99年7月:阪神/宝塚記念:2着
99年10月:京都大賞典:7着
99年10月:東京/天皇賞・秋:1着
99年11月:東京/JC:1着
99年12月:中山/有馬記念:2着
通算17戦10勝(重賞9勝)
※馬齢は当時の表記です。
母キャンペンガールは未出走で繁殖入り。スペシャルウィークの前に4頭出産したが、出走できたのは3番仔のオースミキャンデイのみ。そのオースミキャンデイは2勝を挙げた牝馬だが、火事で死んでおり繁殖馬として血を残すことはできていない。
また、5番仔となるスペシャルウィークを出産した5日後に母キャンペンガールも死んでおり、スペシャルウィークは幼少期、ばんえいの農耕馬に育てられた。
デビューは3歳11月の阪神。芝1600m戦を武豊騎手鞍上で単勝1.4倍の1番人気だった。好位から直線鋭く伸び2着馬に2馬身差をつけ優勝。人気に応えデビュー戦を飾った。
次走の500万特別では弟武幸四郎騎手が騎乗するアサヒクリークにハナ差屈し2着に敗退。
2戦目で土をつけたスペシャルウィークだが、3戦目はG3・きさらぎ賞へ出走。3歳牝馬チャンピオン・アインブライドも出走していたが、単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持された。中団に位置すると、直線鋭く伸びて、2着ボールドエンペラーに3.1/2馬身差をつけ圧勝。重賞初制覇を飾った。
4戦目の弥生賞ではキングヘイロー、セイウンスカイと激突。スペシャルウィークはキングヘイローに次ぐ2番人気だった。セイウンスカイが逃げ、キングヘイローが4,5番手の好位、さらにその後からスペシャルウィークという展開となった。直線もセイウンスカイがリードを保っていたが、最後、測ったようにスペシャルウィークが脚を伸ばし、1/2馬身差差し切ってのゴール。重賞2連勝とし皐月賞大本命に躍り出た。
迎えたクラシック第一冠皐月賞は弥生賞上位3頭が再度激突。3強の様相だったが、スペシャルウィークが単勝1.8倍でやや抜けた人気となった。
デビュー以来手綱を取ってきた徳吉騎手から横山典騎手へと乗り替りとなったセイウンスカイが2番手、キングヘイローが好位4,5番手、スペシャルウィークは後方からのレースとなった。
4角で先頭に立ったセイウンスカイが直線脚を伸ばし、キングヘイローが差を詰めるが半馬身届かずゴール。上がり3Fメンバー最速で猛追したスペシャルウィークだったが、さらに1馬身差の3着に敗れた。
ダービーで再び激突する3強。横山騎手の好騎乗で一冠を制したセイウンスカイだったが、距離延長に不安がささやかれ4.9倍の3番人気。スペシャルウィークが2.0倍で1番人気、キングヘイローが3.9倍で2番人気だった。
好スタートから2番手を取ったセイウンスカイ、後方に位置したスペシャルウィークは予定通りだったが、キングヘイローが逃げを打つ予想外の展開となった。キングヘイローが早々と手応えが怪しくなり脱落。2番手から粘りを見せるかに思えたセイウンスカイだったが、直線半ばでスペシャルウィークに一瞬で交わされた。先頭に立った後はスペシャルウィークの独壇場で後続との差をグングン広げ2着ボールドエンペラーに5馬身差をつけ圧勝した。鞍上武豊騎手も初のダービー制覇となった。
ダービー馬となっての秋初戦は京都新聞杯。単勝1.2倍の圧倒的1番人気での出走となった。いつものように後方からレースを進めたが、4角では2番手に上がると前を行くキングヘイローをクビ差交わして優勝。秋初戦を飾った。
4度目の3強対決となったクラシック最後の一冠・菊花賞。スペシャルウィークが1.5倍の1番人気。古馬相手の京都大賞典を勝って挑んだセイウンスカイが2番人気、キングヘイローが3番人気となった。
セイウンスカイが先手を取りスペシャルウィークは中団。直線入口で大きく差を広げたセイウンスカイが直線も軽快に脚を伸ばす。スペシャルウィークも上がり3F34.1秒の鋭い末脚で懸命に差を詰めたがセイウンスカイの世界レコードとなる逃げの前に3.1/2馬身差をつけられ2着に敗れた。
次走はジャパンカップ。武豊騎手が騎乗停止となり岡部騎手とのコンビでの出走となった。強力な外国馬はおらず、スペシャルウィークが1番人気。以下女傑エアグルーヴ、同期の外国産馬エルコンドルパサーが続いた。エアグルーヴと並んで好位からレースを進めたスペシャルウィークだったが、前を行くエルコンドルパサーに直線差を広げられ、0.5秒差の3着に終わった。
その後有馬記念へは向かわず一息入れられ、次走は年明け1月のアメリカジョッキークラブカップ。ペリエ騎手とのコンビで1番人気。好位から直線後続との差を広げ2着サイレントハンターに3馬身差をつける圧勝で古馬となっての初戦を飾った。
続く阪神大賞典からは武豊騎手とのコンビが復活。メジロブライトに人気は譲ったが、レースは2強対決を3/4馬身差制して優勝。春の天皇賞へ向け万全のステップとなった。
迎えた天皇賞・春。セイウンスカイが先手を取り、スペシャルウィークはいつもより早めの3番手を追走。直線でセイウンスカイを捕らえると、差を詰めたメジロブライトを1/2馬身差抑えて優勝。ダービー以来のG1・2勝目を挙げた。
その後は春のグランプリ宝塚記念へ。同期のグラスワンダーとの対決に注目が集まった。
スペシャルウィークが1.5倍の1番人気で、グラスワンダーが2.8倍の2番人気。4,5番手をスペシャルウィークが追走し、その後をグラスワンダーが続いた。
直線入口でスペシャルウィークが早くも先頭に立ち、その直後を的場騎手鞍上のグラスワンダーが迫る。そのままスペシャルウィークが譲らなかったが、直線半ばでマークしていたグラスワンダーに交わされると、3馬身差をつけられ2着に敗れた。
凱旋門賞挑戦プランもあったが、この敗戦により白紙となった。
秋は京都大賞典で始動するもまったく見せ場無く7着に敗退。
巻き返しを図った天皇賞・秋だったが、調教でも格下の馬に遅れをとるなど良化が見えず4番人気に留まった。
馬体重も-16キロと順調さを欠いているように見受けられた。
しかし、レースでは鋭い決め脚を発揮。昨秋から春にかけて好位からのレースだったが、このレースでは後方から。直線入口でも中団後方だったが、そこから鋭く伸びるとステイゴールドをクビ差捕らえて優勝。天皇賞春秋連覇を飾った。
続くジャパンカップは凱旋門賞でエルコンドルパサーを破ったモンジューが参戦。スペシャルウィークは2番人気だった。中団からレースを進めると、ここでもメンバー最速の上がり3F35.9秒で差し切り勝ち。前年の雪辱を果たした。
年内引退が決まっていたスペシャルウィークのラストランは有馬記念。
春のグランプリで敗れたグラスワンダーは毎日王冠以来のレースだったが1番人気を譲った。
今度はスペシャルウィークが道中最後方からグラスワンダーをマークする形となった。4角でグラスワンダーが上がっていくと、その直後をスペシャルウィークがついて行く。直線馬体を併せての追い比べとなり、ゴール前はピッタリと鼻面を合わせてのゴールとなった。
スペシャルウィークの態勢が有利に見え、武豊騎手もウイニングランを行ったが、長い写真判定の結果、わずか4センチ差でグラスワンダーに軍配が上がった。
グラスワンダーには2度敗れたものの、5歳時の成績はG1・3勝、2着2回という成績を残した。しかし、年度代表馬、最優秀古馬牡馬は海外長期遠征で凱旋門賞で2着に好走したエルコンドルパサーが選出された。
スペシャルウィーク、グラスワンダーには特別賞が贈られることとなったが、この年のJRA賞は各所で物議を醸した。
■引退後
有馬記念を最後に引退したスペシャルウィーク。引退式は年明け1月5日に京都、翌6日に中山の2カ所で行われた。
その後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り。
初年度産駒は2003年にデビュー。6月の新馬戦をヤマニンラファエルが勝ち産駒のJRA初勝利を挙げた。また、そのときの鞍上も武豊騎手っだった。
ただ、初年度産駒は仕上がりが遅く目立った活躍を残す馬はいなかった。
しかし2年目の産駒から活躍馬を輩出。スムースバリトンが東京スポーツ杯2歳Sを勝ち重賞初勝利を挙げると、シーザリオがオークスを制しG1制覇。さらにシーザリオは同年の米G1・アメリカンオークスも制した。
そして代表産駒となるのが2006年に産まれたビワハイジの仔、ブエナビスタ。阪神ジュベナイルフィリーズをはじめ、桜花賞、オークス、ヴィクトリアマイル、天皇賞・秋、ジャパンカップとG1・6勝を挙げた。
そのほか主な活躍馬はインティライミ(京都新聞杯など)、オースミダイドウ(デイリー杯2歳S)、サンバレンティン(福島記念など)、トーホウシャイン(マーメイドS)、リーチザクラウン(きさらぎ賞など)、タガノエリザベート(ファンタジーS)、ナリタクリスタル(新潟記念など)、ファイアーフロート(京成杯AH)、ブリッツェン(ダービー卿CT)、ゴルトブリッツ(アンタレスS)、そして先日の阪神牝馬Sを勝ったクィーンズバーンらがいる。
また、2012年からはブリーダーズスタリオンステーションへ移動し、種牡馬生活を続けている。
2012.4.23